ハンディターミナルメーカー撤退が相次ぐ今、企業が取るべき対策
- 2026.03.23
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- #在庫管理#業務効率化#製造業#運送・物流
主な日本のハンディターミナルメーカー
日本のハンディターミナル市場では、主要メーカーとして 「DENSO WAVE(デンソーウェーブ)」、「Keyence(キーエンス)」、「Casio(カシオ)」、「Panasonic(パナソニック)」 の四社が挙げられます。各社とも長年にわたり、業務用端末としての高い信頼性を築いており、日本国内でのシェアも上位を占めている印象です。
特に当社ユーザー様の事例を見ていると、「DENSO WAVE」「Keyence」を利用されている方が圧倒的に多く、物流・製造現場においてもこの二社が主流であることを感じます。
それぞれのメーカーには独自の強みがあります。
- DENSO WAVE(デンソーウェーブ)・・・バーコードリーダー技術に強く、長年培った現場ノウハウに基づいた堅牢設計が特徴です。
- Keyence(キーエンス) ・・・高性能スキャナと柔軟なシステム連携が魅力で、現場での作業効率化を支援する先進的なソリューションを提供しています。
- Casio(カシオ) ・・・耐久性に優れた堅牢モデルを中心に、現場での使いやすさに配慮した設計が長く支持されてきました。
- Panasonic(パナソニック) ・・・頑丈なハンドヘルド端末やタフブックシリーズを展開し、屋外や過酷な作業環境にも対応する製品を提供しています
こうした各社の強みが市場を支えてきましたが、近年はメーカーの方向転換により、この構図にも変化が見え始めています。
Android型ハンディターミナルの登場と普及

ハンディターミナルのOSは長らく組み込みOS(Windows CEなど)が主流でしたが、2017年に CasioがAndroid 6.0を搭載した端末を公開したことを契機に、Android型ハンディターミナルの時代が始まりました。
これ以降、各社がAndroid搭載の新モデルを発表し、2018年~2019年頃から本格的に普及し始めました。
Android型端末の利点は多くあります。
まず、OSが統一されているため、ソフトウェアの開発やアップデートが従来よりも容易になりました。また、スマートフォンの普及によって、タッチパネル操作や直感的なUIへの理解が現場にも浸透しやすくなったことも、Android型ハンディターミナルの受け入れを後押ししました。
その結果、2021年頃には物流現場や製造ラインでも一定の存在感を示すようになり、業務効率化のツールとして欠かせない存在となりました。
Android化は単なるOSの変化ではなく、既存システムとの連携方法やアプリ開発の在り方を見直す機会となりました。
Android化の普及による現場の声と課題
Android型端末の普及によって、作業効率や情報収集のスピードは向上しています。
しかし現場では、まだ課題が残ります。例えば物流倉庫や工場などでは、冬季や衛生管理のために手袋を着用して作業することが多く、タッチパネル式の端末では操作に支障が出るケースがあります。
このため、現場では「手袋対応のタッチパネル」「物理キー併用モデル」といった製品の需要も根強く残っています。
また、端末の耐久性やバッテリー持続時間も重要な課題です。現場の長時間使用に耐える堅牢性と、長時間稼働可能なバッテリーは不可欠であり、Android型端末を導入する際にはこの両立が求められます。
さらに、現場作業員の年齢層やITリテラシーに応じたUI設計も必要であり、単純にAndroid化すればよいというわけではないのが現実です。
こうした課題は端末選定だけでなく、システム設計やUI開発にも影響を及ぼすため、端末更新と同時にシステム修正を検討する必要があります。
メーカー動向の変化・今後の選択肢

特に注目すべきは Casioの方針転換です。
Casioは近年、ハンディターミナルの新規開発および新規顧客への販売活動を停止する方針を発表しました。
これにより、既存端末の保守は継続されるものの、今後の新規導入や買い替えを検討する場合は、他社製品を選択する必要が出てきます。
一方で、Panasonicの新規製品投入は限定的であり、今後は頑丈タブレットや汎用性の高い端末に比重を置く可能性があるため、ハンディターミナル単体での選択肢は狭まってきている印象です。
こうした情勢を踏まえると、今後の日本製ハンディターミナルの選択肢は徐々に絞られつつあります。現状では、以下の二社が主要な選択肢となるでしょう。
- DENSO WAVE(デンソーウェーブ):安定性・堅牢性が強みで、物流・製造現場での信頼度が高い。
- Keyence(キーエンス):高性能スキャナや柔軟なシステム連携が可能で、業務効率化を重視する企業に向く。
Casioは今後、新規導入が困難になるため、既存端末ユーザーは保守対応を前提にしつつ、買い替え時には上記二社を検討する必要があります。
結果として、日本のハンディターミナル市場は “二強体制” が定着する可能性が高いといえるでしょう。こうした変化に対応するためには、端末の買替と同時にシステム修正を進めることが不可欠です。
今から準備しておくべき4つのこと
ハンディターミナル市場が大きな転換期を迎えている今、企業は「買替えが必要になってから慌てて対応する」のではなく、事前に準備を進めておくことが重要です。特に、端末更新は単なる機器交換にとどまらず、システム修正や業務フローの見直しを伴うため、計画的な対応が求められます。
ここでは買替前に準備しておくべき4つのポイントをご紹介します。
- 利用端末とシステムの棚卸
まず取り組むべきは、現場で利用している端末はどのメーカーなのか、OSやバージョンは何か、連携している基幹システムやアプリはどのような仕様なのかを整理をすることです。端末の情報を整理すれば更新時の影響範囲を把握できます。これにより、買替えの際に必要となる修正工数やコストを事前に見積もることが可能になります。 - 現場の課題・要望の洗い出し
操作性、耐久性、バッテリー持続時間、UIの分かりやすさなど、現場で感じている不満や改善点を把握しておくことで、次の端末選定に反映できます。単に「同じメーカーの後継機に置き換える」だけではなく、現場の声を取り入れることで、更新を業務改善のチャンスに変えられます。 - 基幹システム側の確認
システム側の柔軟性を高める準備も必要です。Android化が進むことでアプリ開発や更新は容易になりましたが、既存システムが古い仕様に依存している場合、端末更新に合わせて改修が不可避となります。今から「どの部分を標準化できるか」「将来の拡張に備えてどのように設計すべきか」を検討しておくことで、更新時の負担を軽減できます。 - メーカー動向の情報収集
Casioの撤退やPanasonicの縮小に見られるように、選択肢は変化し続けています。市場の最新情報を把握し、複数メーカーの製品を比較検討できる体制を整えておくことで、突然の買替えにも柔軟に対応できます。
このように、端末更新は「準備しておけばスムーズに進められる」ものです。今から現場・システム・市場の三つの視点で備えておくことが、次世代のハンディターミナル運用を成功させる鍵となります。
まとめ

日本のハンディターミナル市場は、Android型端末の登場により大きく変化し、ソフト開発の容易さやスマートフォンとの親和性から、現場での普及は着実に進みました。
一方で、手袋操作や堅牢性、バッテリーなど現場特有の課題も残っています。
メーカー動向を見れば、Casioは縮小方向、Panasonicは限定的な継続、DENSO WAVEやKeyenceは主力として存在感を維持しています。
これにより、今後の日本製ハンディターミナルの選択肢は DENSO WAVE・Keyenceの二社に集約されつつある状況といえます。
現場の業務効率化やDX推進の観点からも、端末選定はますます戦略的な意味を持つようになっています。
今後は、ハードの性能だけでなく、ソフトウェアや管理ツール、運用サポートを含めた総合的な選定が重要です。
二社それぞれの強みを理解し、現場ニーズに最適化した端末を選ぶことが、業務効率化とコスト最適化の鍵となるでしょう。
私たち日本デジコムでは、こうした変化に対応するために、ハンディターミナルの選定からシステム改修までをワンストップで支援しています。現場の業務を止めず、次世代の運用環境へスムーズに移行できるよう、最適なソリューションをご提案いたします。